2008年8月15日金曜日

終戦の日とオリンピック


 きょうは63回目の終戦の日。平和の祭典である北京オリンピックの開幕の日に、ロシアとグルジアは戦闘に入った。何たる皮肉か。人が人である限り人の心の中から戦争はなくならないのか。殺されれば報復してまた殺す。そうやって負の連鎖が始まる。
 テレ朝で終戦記念日ということで戦争アニメをやっていた。『キクちゃんと狼』の童話なんだが、なんとなく見始めて最後まで見てしまった。満州で敗戦を迎えた多くの日本人民間人が突然参戦したソ連軍から逃げて行くが、逃亡中に幼いキクちゃんは麻疹(はしか)にかかってしまう。他の家族の子供達に移らぬように母親は泣く泣く幼いキクちゃんを原野に置き去りにする。腹をすかした狼がキクちゃんを食べようとするが、高熱に驚き草薬で熱を冷まし助ける。その後、中国軍にも追われ大やけどをするが、狼は自分が中国軍の前に出て敢えて鉄砲に撃たれ犠牲になることでキクちゃんを中国軍の手に渡し人間の手で助けてもらう。物語はそこで終わった。
 戦争は兵士だけでなく民間人も犠牲になる。先の大戦で日本人は軍人・軍属・民間人合わせて、310万人が死亡した。終戦後、海外に残された日本人は620万人、極寒のソ連、モンゴルには57万人の戦後強制抑留者がいた。
 キクちゃんたち日本人町の一行は途中でソ連兵の戦車に轢かれたり、機銃掃射、暴行、略奪、辱め
を受けながらも日本に帰れたのであろうか、キクちゃんは中国人に引き取られ戦争孤児として成長してお母さんと再会できたのであろうか、アニメは鉄砲に打たれて死んで行った狼と中国軍兵士に抱きかかえられて治療に向かうキクちゃんの画像で終わっている。
 4年に1回のオリンピックと終戦の日が重なったきょうという日に「戦争と平和」を考えてみても良い。ライバルを尊敬しスポーツでお互いを認め合うオリンピックの価値を今一度考えてみよう。スポーツのできる環境にある我々はスポーツを政治的に利用する者たちからこの環境を守る必要がある。口パクやCGでの偽装の祭典からは本物の感動は生まれない。金メダルでなくともよい、金メダルを目指して努力するところに価値がある。その結果敗れてもそれで人生が終わるわけでもない。金メダルを取った以上に我々人類は敗北から多くの価値を得てきた。故に勝ち方同様、負け方も大事なのだ。勝っても負けても、それは終着点ではなく、通過点なのだから。

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