2008年8月28日木曜日

アフガニスタンでの悲劇は回避できたのではないか



 めっきり朝晩が涼しくなってきました。私もきょうから長袖シャツで出勤。

 昨夜から報道されているが、アフガニスタンで誘拐された日本人青年(31歳)の遺体が発見された。青年は非政府組織NGO(Non Goverment Organaization)の一つであるペシャワール会スタッフの一人であった。アフガニスタンでは現政権への失望や不満が充満し、治安が悪化していた。ペシャワール会現地代表の中村哲医師は「情勢認識が甘かった」と述べていたが、私も同感だ。

 国際社会で紛争や貧困などで苦境に陥っている国や地域に入り、地域の復興や自立に向けて先進各国からボランティア が活躍している。日本政府はアフガニスタンに総額20億ドルの支援を表明している。内容は医療、衛生から農業、教育など多岐に渡っている。日本政府から外務省傘下のJICA(ジャイカ:日本国際協力機構)や日本からのNGOがこれらの資金を使い現地で復興や支援活動に当たっている。
 
 今回の背景にあるのは、米欧の対テロ戦だ。特にアフガニスタンと隣国のパキスタンにいる国際テロ組織アルカイダやイスラム原理主義勢力タリバンの打倒が対テロの目標となっている。
 今から、34年前、私はJICAの下部組織である青年海外協力隊の隊員としてアラブ中近東のチュニジア共和国にバレーボール指導で2年間派遣された。隣国は当時カダフィー大佐率いるリビア
とアルジェリア。ある日、リビアからゲリラがチュニジアの首都であるチュニスに潜入し銃撃戦となった。
市内には戒厳令が敷かれ外出禁止となった。怖いもの見たさの22歳の血気にはやる私は戸外に出てみた。とたんに「パン」という乾いた音と同時に目の前をピューンという音が通過していった。銃撃されたようであった。慌てて石造りに家の中に逃げ込んだことを今回の記事で思い出した。
 戦争になると人の心は変わってしまう。普段はおとなしく優しい人も、戦争という極限状態になると神経が麻痺してしまうのか犬畜生以下の獣になってしまう。アラブ人は特に気性が激しい。今回のアフガンの状況が悪化していたことは以前に解っていたと思う。犯人はテロリストでないかもしれない。一般人かも知れない。一般人でも、戦争状態では理性を失ってしまう。日本政府は早めに撤去指示を出しているべきではなかったかと私は考える。
 望むことは無理だが、亡くなった青年の将来の40歳代、50歳代の姿を見てみたかった。惜しい日本人を無くしてしまった。子供に先に立たれた親御さんの無念さはいかばかりか。私もそうであったが、その青年も異国の地でひょとしたら亡くなるかもしれないという恐れは持っていたと思う。事実、青年海外協力隊でも事故、怪我、病気で亡くなる率は国内にいるより以上に高い。しかし、海外に出て自分の力を試してみたい、生かしてみたいという希望が現地でのリスクの恐れを上回り、私の仲間達は発展途上国に旅立っていった。
 伊藤和也さんのご冥福を祈る。

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