2015年7月1日水曜日

01,July 2015 写真からのゲーム分析-1 スパイク・カヴァー

Thailand
毎日、アパートメントに閉じこもって、先日の大会の報告書を作成しています。

2,3ページで済ませることもできるのですが、シンガポールバレーボール協会がボランティアを動員して、各チーム、各選手の詳細な技術データを作成してくれましたので、それをベースにして今回の戦い方を振り返ってみようと思っています。そのことで、今後の課題も明確になってきます。

本日は、カンボジアからシンガポールに応援に駆け付けて頂いた方から写真を多数送って頂きました。動画は、You tubeで見れます。動画は全体の流れが良く理解できます。写真は、その瞬間を切り取っていますので、それはそれで見る者に語ってきます。それらの写真の中から数枚を抜き出して、私なりに技術評価してみます。特に数値に表れないプレーを評価してみます。


まず、この画像です。黄色のシャツがカンボジアです。レフトからのスパイカーが攻撃しています。この時に大事なのが、スパイク・カヴァー(日本ではブロック・フォローと言っています)のフォーメーションを素早く形成することです。スパイクが相手ブロックに掴まり、こちら側に返されてきたボールをレシーブして、再度の攻撃につなげることが目的です。

下に代表的なフォーメーションを2例あげてみました。左が3-2、右が2-3というシステムになります。相手ブロッカーが高い場合は、ネットから3m以内のコートに跳ね返されるケースが多いので、3-2システムを採用します。ブロッカーが低い場合は、コート中央に跳ね返されるケースが多いので、2-3システムを採用します。


そして、大事なことは、ブロックに当たって跳ね返されてきたボールをただ単にレシーブするだけでは、次の攻撃に結び付きません。良くて、またレフトスパイカーに単純なハイ・セット(2段トス)を上げるだけです。世界のトップは、このカバー・レシーブから、逆サイド(ライト側)にセット(トス)します。ブロックは1枚から1枚半になります。

メダルを取るようなチームは、更にレベルをあげます。ブロックからの跳ね返りが緩ければ、このカバー・レシーブから直接オーバーハンドで平行セット(トス)します。つまり、レシーブ=セット(トス)にします。相手ブロッカーは完全に1枚です。それもディグ(スパイク・レシーブ)の位置から慌ててのブロックですから不完全です。この場面では、スパイカーのほうが圧倒的に有利です。

手前のカメラが邪魔して、コート上のプレーヤーの位置が良く見えないのですが、スパイカー以外のカンボジアの選手達は、ほとんどコート上で突っ立ているか、遅れてフォーメーションを作ろうとしています。これでは、スパイク・カヴァーになっていません。日本でも県大会1回戦で敗退するチームは、このようになっています。

我がチームは、この「スパイク・カヴァー」の練習が合宿で満足にできませんでした。理由は、選手が揃わなかったからです。選手は12名だけです。そして出席率は、7割です。チームプレイの練習は、ほとんどできませんでしたので、優先順位として「スパイク・カヴァー」の練習は週に1回1時間程度でした。

『練習は嘘をつかない』。

元全日本女子バレーチーム監督の岩本洋さんから、いつも言われていました。繰り返しの練習で身に付けたプレーは、どのような状況でも行うことができます。しかし、中途半端な練習で身に付けた薄いメッキのようなプレーは、直ぐに剥がれてしまいます。

カンボジアの選手達は、ASEAN地域でのなかでも、驚くほどの身体的能力を持っている選手が大勢います。彼らが、毎回の練習に必ず出席する(したい)環境を作ってあげれば、カンボジアのチームは凄まじい勢いで進化していきます。これが、今年の私の第一の課題です。

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