この2週間は、もっぱら基本技術練習に始終した。彼らのスパイクだけは、日本の大学生トップクラスであるが、他の技術は中学生並みである。それでも、私がきちんとした指導をするとその場ですぐにできてしまう適応力は素晴らしい。
(カンボジアのプレーヤーの課題であるブロックは、まずステップから。相手チームの攻撃に対応した素早い移動を伴ったブロックができるようになるには、3ヶ月かかるであろう) |
不平不満を言うのは、食事をもっとお腹いっぱい食べたいぐらいで、私が指示を出したことには素直に従う。ただし、集中力を継続して行うことには、まだ慣れていない。従って、ゲーム練習をやると単純ミスがポロポロ出てくる。
集中力を高め、ミスを少なくして連続得点の局面を多く作るために、今日から「ウオッシュ・ゲーム」(Wash Game)を始めた。連続でプレーが成功して1点入るシステムのゲームである。
算数であれば、0.5+0.5である。選手達に、試しに答えを求めた。最初に出た答えは、=0.1、次に出たのは0.55。最後に出たのは1.0でやっと正解が出た。選手達には、数字にも慣れて欲しいので、時々このような算数の問題を出す。
9m四方のコートの対角線の長さは?というのも、日本で高校生を指導した時に良く出した。これは、2段トス(High Set)の練習する前に質問を出す。コート隅から対角線先のフロントスパイカーにトス(Set)する長さは?
白板にコート半分9m四方の図を描く。高校生に計算式を聞く。中学でしっかり数学を習っている子は公式で出します。「ハイ!三平方の定理で出せます。対角線の長さをXとすると、X=9√2=9×1.41421356(一夜一夜にひとみごろ)=12.72...m 」。
公式を知っていなくとも解答を求めることができる。
正方形の面積は一辺の長さ×一辺の長さで求まるので、面積は81m²。
また、正方形はひし形でもあるので、対角線の長さをXとすると、面積はX×X÷2になる。
だから、81=X×X÷2。
このことからX×X=162であることがわかる。
X×X=162となるXは、およそ13になる。
13×13=169なので、だいたい162になる。
よって、対角線の長さは約13m。
説明が長くなったが、つまり、オーバーハンドで2段トスを上げる場合は約13mボールを飛ばすパワーと技術が必要になるということ。従って、ナショナルチームでは、普段から13m飛ばすパス練習が必要だということである。中学生であれば、9m飛ばすロングパス練習をやって欲しい。
話しが、算数の話になってしまったが、バレーボールは総合スポーツと私は認識している。時には数学の、時には英語の、社会の、国語の話を少し挟んでも良いのではないかと思っている。選手達も、いつまでもバレーボールばかりやっているわけにはいかないのだから・・・。社会人として、必要な知識を獲得して、考えて行動する人になってもらいたい。