この大会の以前の大会名は、TOYOTA Cupであったと記憶している。クラブチームの世界一決定戦をトヨタがスポンサーで日本で毎年開催してきた。日本で世界の一流プレーヤーを目の当たりにできるということで日本人は幸せ者である。トヨタさんに感謝である。
今夜は欧州チャンピオンのバルセロナとアジアチャンピオンのアルサッドとの決勝進出をかけた一戦である。バルセロナといえば、メッシというスーパープレーヤーである。2年連続のFIFA最優秀選手賞を昨年まで2年連続受賞している。今年3年連続受賞すると、皇帝と言われたベッケンバウワー選手と並ぶ。確かに、この選手のドリブルは凄い。何が凄いかというと、ボールがまるで足に吸い付いているようで自在にボールを操っている。視野も広い。シュート力だけでなく、アシスト(バレーで言うとセッターのトス)も巧い。相手陣地にドリブルで突進しながら、相手の選手を数名かわして、僅かに開いたスペース(空間)にボールを入れる。バレーで言うと、クイックで囮に入って、相手のブロッカーを2枚引き付けて、他の選手に移動時間差でブロックの間を打たせるようなものだ。メッシは、アタッカーとセッターの両方の役目を一人でやっている感じだ。剣術ならば、自分の肉を切らして相手の骨を砕くという戦術か・・・。いやいや、メッシの場合は肉を切らせるようなリスクを犯さずとも相手を一刀のもと切りすてることができる。彼には、リスクと感じていないのであろう。どうやって、次は点数を取ろうか、楽しんでいる節さえある。
バレーでは、ボールが手に吸い付いて止まってしまったら「ホールディング」という反則になる。1982年の世界選手権男子バレー大会(アルゼンチン)出場の全日本男子チームのセッターは天才と言われた古川靖志(181cm)であった。その時、私も大会視察で会社から派遣された。古川選手のトスさばきは、サッカーのメッシのようにボールが指に吸い付いていた。反則ギリギリのタイミングでボールをつかんでいた。時には、主審に対して「あなたのハンドリング基準はどれくらい?」とゲーム開始時に試しているかのように見えた。「なるほど、ここまでは反則ではないのですね。では、この基準でこれ以降のこのゲームはセットアップしますからね」と、まるで主審にハンドリングの基準を選手の方がしているようであった。古川選手のこのようなセットアップのボールを速攻で打てるセンタープレーヤーは、当時、三橋栄三郎選手だけであった。同じセンタープレーヤーの鳥羽選手は古川のトス(手の中に溜めるようにしてパッと離す)を打てなかったので最終12名に入れなかった。
実は、古川選手のボールさばきは 、メッシのボールさばきと同じで、身体上でボールは止まっていない。メッシは1秒間に3つのアクションを行っているので、足に吸い付いて見えるだけである。古川選手も1秒間に3つ、いや4つのアクションを行っていた。ジャンプして、ネット上高いところで、ボールに触れるようなアクションをしながら、空中でボールに触れたり、触れずにボールと一緒に落下しながらトスを上げていた。古川選手のトスさばきに、相手ブロッカーは翻弄されるどころか、味方まで翻弄された。
その古川さんは、3年前から、仙台の尚絅大学女子バレー部、そして今年からは仙台ベルフィーユというV1のチームでコーチを始めた。天才選手が名指導者になれるかどうか。チャレンジは始まっている。
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