司馬遼太郎の原作『坂の上の雲』は映像化することはできないと言われていた。日露戦争における日本海海戦などは洋上での艦隊同士の戦いである。映像化にすることは映画『タイタニックの最後』の比ではない。しかし、最近のCG(コンピューター・グラフィック)の技術はその壁をいとも軽やかに乗り越えた。2007年に制作を開始して、ロシア、中国、アメリカなどロケを行い、演技力のある俳優を配し、2009年から2011年にかけて放映された。昨日、最終回が放映された。
「まことに小さな国が、開花期をむかえようとしている」のナレーションで始まる物語は、司馬遼太郎の司馬史観というべき歴史観が溢れている。日露戦争を日本側からだけでなくロシア側からも膨大な資料や現地視察で極めて客観的に見つめながら、生き生きと人間群像を描いている。人間を軸にして歴史を描いている。
司馬さんの作品には、他にも『竜馬が行く』という作品もある。この作品で坂本竜馬が四国だけでなく全国的にその名が知られるようになった。『坂の上の雲』では、秋山好古、真之兄弟の名が全国版となった。正岡子規と真之の関係も知られるようになった。司馬さんは人物掘り起こしの名人だ。
(画像は、本棚にあった文庫版。TV放映が決まった2007年に購入して、読みはじめたようだ。そして、この本で随分と漢字を覚えたことも思い出した。歳の暮れ、ここのところ本棚から溢れた書籍を処分しているが、司馬さんの作品は捨てられない)
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