日本経済新聞紙文化欄に連載されている『私の履歴書』、今月12月はフィリップ・コトラーFhilip Kotler氏(83歳)の担当である。自伝を書くのは初めてで、その最初の読者が我々日本人だという。
コトラー氏というと、「マーケティング Marketing」、「4P」と連想される。「4P」とは、プロダクト(製品)、プライス(価格)、プレイス(流通)、プロモーション(販売促進)の英語の頭文字Pから取ったものだ。著作の「マーケテイング・マネジメント Marketing Management」は、世界の大学・大学院の教科書となり、重版は14回にもなる。著作は52冊だ。
私はスポーツ組織(非営利組織)の在り方を、P.F.ドラッカーとコトラーの著作から多く学んだ。以下は私の手元にある『コトラーのマーケティングのマーケティング・コンセプト』(2003年)から2つほど抜粋してみた。
例えば『顧客 Customers』。
顧客に対して、企業は何を目指すべきであろうか。1つめは、「自分が買い手だったらこのように売ってほしいと思う方法で、顧客にものを売れ」というマーケティングの黄金律に従うことである。2つめは、企業の成功は、顧客の成功にかかっているのだと理解することである。企業は顧客の生活向上を目指さなければならない。顧客のニーズを理解し、顧客の期待を越えなければならない。
顧客を「バレーボール愛好者」、企業を「スポーツ組織」に置き換えてみたらどうであろうか。
例えば『リーダーシップ Leadership』。
優秀なリーダーはイエスマンを嫌う。優れたリーダーが欲しいのは、同僚からの忌憚のない意見なのである。そのためリーダーは、建設的に議論を戦わせ、創造的に思考することを奨励する。更に、大局的なものの見方を促し、全力を尽くしたうえでの誤りならば咎めようとはしない。そして、最終決断を下すと、全力で事に当たるよう部下を鼓舞するのである。
リーダーを利権を握るトップと勘違いしている昨今の政財界のお偉い方には耳の痛い言葉であろう。
さて、これから30日間、コトラー氏の歩みとマーケティングという学問の深遠さを毎日紙上から伺うことができる。年末を飾るにふさわしい人選と思う。日本経済新聞社も粋なことをおやりになる。
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