2013年12月25日水曜日

Tue.Dec.24,2013 1回戦敗退でニュースになるチームとは?

普通、1回戦を敗退しても、全国紙にチーム名が取り上げられることはない。しかしこのチームは、大きく取り上げられた。チーム名は、秋田県立能代工業高校男子バスケットボール部。

昨日から東京体育館で開催されているバスケットボールの全国高校選抜優勝大会であるが、本日の男子1回戦において、この大会だけで過去20度優勝の同チームが金沢(石川県)に敗退した。能代工業が1回戦で敗退したのは、44度目の出場で初めてである。

礎を築いた加藤廣志元監督、3年連続で3冠達成の加藤三彦前監督、そして現監督の佐藤先生と三代の指導者が繋いできた全国常勝チームにブレーキがかかった。

井上雄彦氏の描くバスケットボールのマンガの金字塔である「スラムダンク」にも絶対王者(山王工業高校)としてモデルチームにもなった。地元のJR能代駅にはバスケットボールのゴールが設置されている。駅の改札口を出ると「バスケの町、能代へようこそ」と横断幕も掲げられている。

地元の人に最近の能代工業高校の活躍や地域でのバスケットボールの普及や活性化を尋ねたことがあった。あまり芳しいことを聞くことはなかった。

指導者が代われば、伝統を踏襲していっても指導のスタイルは変わる。いや、変わらなければいけない。絶えず革新される伝統だけが伝統として残る。それが磨かれて文化になる。文化になれずに伝説で終える場合もある。

加藤廣志先生は、チーム指導のスタート時、小粒な選手で戦わざるを得なかった。そこで生み出した戦術が、身長差あまり影響しない「ルーズボールの支配」「切り替えの速さ」などである。バレーボールに置き換えると「相手のミスを逃さない」「素速いトランジット」となろうか。しかし、これらの戦術を実行するには、相当の体と心のスタミナが必要とされる。生徒との信頼関係なくして出来ない厳しく、激しく、緊迫感ある練習であったに違いない。

他人事のようだが、いやひとごとだから言えるのだが、3代目監督の佐藤先生には、これからを「また新しいスタート」として捉えて欲しい。人生は、いつからでも再スタートできる、やり直しができる、と私は思っている。

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