2015年11月27日金曜日

25,Nov.2015    この国の教員養成とは

教育は、一国の政治において経済と同様に社会を推進させる大きな力を持つものと私は考えています。

質の高い教育が国民に保障されることで、国を牽引するリーダーが多様な分野で活躍し、その国の経済は成長していく、というのが簡単にいうと、教育と経済の関係であると考えています。

今朝の新聞にカンボジア教育省の教育大臣が来年度からの施策を発表した記事が載っていました。それによると、2020年までに国内の全ての教員(約10万人)は新たな教員資格要件として、大学卒業資格(bachelor's degree:学士)を持たねばならない、ということです。

この記事に、私は驚きました。ということは、今の教員は、学士の資格を持っていない、ということなのでしょうか。確かに、体育の教員に関しては、昨年私が訪れた体育(運動)教員養成の施設は、専門学校という名称でした。他の教科についても、恐らく専門学校での教員養成なのでしょう。

一部の数学の先生が、算数の問題を解けない、とか専門性に欠けているという話は、日本人の間でも聞いていました。また、昨年、ナショナルチームのスポーツドクターを探していた時に、どうもこの国の医薬系大学には、医師養成機関がないのではとの疑問も持ち上がりました。薬学部(科)はあっても医師養成機関は無いようです。そのような環境ですので、スポーツドクター制度もありません。

国際大会出場時にチームにドクターが同行するというのは稀なようです。今年シンガポールで開催された東南アジア大会のバレーボール種目において、ドクターを同行していた国はタイランドだけでした。

教育の力は、考える力、協力して問題を解決する力を養うというところが大きいと考えています。知識を得ることは本からでも、インターネットからでも獲得できます。しかし、知っていることと行動することは、違います。学校の教員は、生徒や学生に獲得した知識をもって社会の中で生きていく力、社会を創っていく力を後押ししてくれます。

大人も学ぶことに遅すぎるということはありません。大人にはメンターという人たちが必要です。メンターとは、主に仕事上(または人生)の指導者、助言者を意味します。メンターに任命されるのは、その組織に入って7年ぐらい経験した中堅人材です。企業においては、新入社員などの精神的なサポートをするために、専任者を設けています。メンターは、キャリア形成をはじめ生活上のさまざまな悩み相談を受けながら、育成にあたっています。

私も、この国では、監督としてナショナルチームの指導を行うことと並行して、メンターとして選手達をサポートしています。今後は、バレーボール連盟の役員に対してもメンターとしての活動が必要になるでしょう。組織には、テクニカル・ダイレクター(TD)やジャネラル・マネージャ(GM)が必要ですが、それ以前に、この国のバレーボール連盟にはメンターが必要です。

組織は、どこかからお借りして真似して作ることはできても、その組織が組織的に計画性を持って将来を見据えて活動できるかどうかは、その中の人間がどう動くかで決まります。教育を受けた、訓練を受けた専門性の高い人材が、この国ではもっと必要です。




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