何事も説明の仕方が大事です。相手が理解しやすいように説明することで多くの問題は解決します。
私が日本で定年までの34年間勤務していたスポーツ品製造会社では三現主義というのが提唱されていました。三現というのは、「現品」「現場」「現実」ということです。
要は、具体的に示すということです。
昨日、購入したばかりのインク・カートリッジをプリンターに挿入したところ、インクの色が薄く、そのうちにまったく印字できなくなりました。
そこで、購入したお店に、そのカートリッジ、更にその前に使い切ったカートリッジ、そしてプリンターの3点を領収書も含めて持参しました。全て、同じ店、「Canon Shop」から購入したものです。お店はプノンペン市の中央にあり、女性店員は制服を着ています。市内ではCanon製品だけ扱っている中型のプリンター専門店です。
現物を持ち込んで、現状の不具合を説明し、技術職らしい人に色々試してもらって、そのカートリッジが不良品であるらしいということが判明しました。そして、その場で新しい交換品を手渡されました。
この国では、このような場合、まず「故障した原因」はお客のほうにあると決めつけてきます。そこで、私は、色々試してもらって、「原因は、あなた達にあるのではなく、この製品を作った工場にある可能性があるので、製造したシンガポールの工場に送り返して調査してもらった方が良い」と言いました。
コピー機もキャノン製、カートリッジもキャノン製、私は日本人、そして現物で説明することで相手の納得を得ることができました。責任も販売した彼らにはありません。
時間はかかるかもしれませんが、言葉だけでの説明だけでなく、できるだけ「現物」で示すことが色々な場面でお互いの理解を正確に得ることができます。
スポーツのコーチングも同様です。言葉だけで、画像だけで指導できるのであれば生身の指導者は必要ありません。多少、自身のお手本が下手であっても指導者が自分でポイントを示してあげることが大事です。そして上手にできている選手を素早く見つけて、その選手にお手本を示してもらいます。そして、その選手のお手本を褒めてあげます。それで皆が理解できます。褒められた選手は自信をつけます。
その後に、ビデオカメラでフォームをチェックしてあげます。自分のフォームを客観的に見ることはあまりないので、選手たちは喜んで私のアドヴァイスを聞いてくれます。
「ここの最初のジャブ・ステップは素早くていいね。あとは、ここのステップの方向を進行方向に向けるともっと横への移動が速くなって、良いブロックジャンプができるよ」というふうに、まず褒めて、次に改善点を指摘します。良くないところだけ指摘しても、選手たちは素直に聞いてくれません。
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