私が初めてママさんバレーに接したのは、昭和46年、今から42年前である。山形から出て来て大学浪人2年目の春であった。
新宿区大久保にある下宿の近くに区立体育館があり、暇な時に覗きにいくと、ママさん達がバレーボールをやっていた。何回か覗きに行っているうちに、メンバーの方と話す機会があり、コーチを頼まれた。コーチというよりは、マスコットボーイのような存在であった。今でこそ初老の爺さんの私であるが、当時の私は、純粋無垢な、汚れを知らない、可愛い青年であった。
チームの名前は、やよいクラブ。当時のママさんバレーは全盛期で日本のいたるところで雨後のタケノコのように次々とチームが生まれていた。当時は生涯スポーツの概念もまだ未熟で、チームのあり方は部活の延長のような考えが一般的であった。つまり、生涯スポーツも勝利至上主義の色がまだあった。
勝たなければ意味がない、とばかりに一部の上手な人たちは強いチームを作るために他の区に住民票を移しても勝利にこだわった。現在では、想像もできないだろうが、熱くなった女性はそこまでやってしまう。
そして、42年経って、現在の私は幼稚園児を母に持つママさんチームのコーチも行っている。就任して、もうすぐ2年目を迎える。
ママさんバレーチームと一口に言っても、色々ある。一般的にはクラブチームであるが、クラブはメンバーの目的や目標がほぼ同じ方向を向いている。クラブチームの目標は、一度は全国大会や関東大会に行きたい、というものである。P連に属する小学校ママさんバレーや幼稚園ママさんバレーチームの目的・目標はメンバーそれぞれ違う。ある人は、市内の大会で優勝したいと考え、ある人は試合に出れれば満足と考えている。
指導する上で難しいのは、後者の方である。チーム強化のためであれば、基本練習をしっかりやりたい。しかし、普段の練習に出てくるだけで満足している人にはつまらない。では、ゲーム練習だけやっていれば良いかというと、意欲のある人には、技術の向上が望めないので、これもつまらない。
では、どうするか?
普段の練習自体が楽しいと思うような練習内容を行うべきであろう。具体的には、基本練習とゲーム練習を半分ずつ行う。時には、全てゲーム練習でも良い。基本練習のテーマは、メンバーの総意で決めて頂き、初心者のレベルに合わせて指導する。
クラブチームがやっているような、いかにもバレーらしい練習を行いたい欲求を封印して、時間をかけて正しい基本を指導して行くことがP連バレーや幼稚園ママさんバレーには必要と考えている。もう少しレベルアップしたいママは、クラブチームで活動することが無理なく楽しいママさんバレーを継続できると考えている。
そうそう、昨日、県内のあるママさんチームからコーチの依頼が来た。このチームは、数年前に憧れの全国ママさん大会に出場して素晴らしい成績を上げたチームである。今でも県大会では登録230チームの中でベスト8以上の常連である。
もっと上手になって、12月の全国ローソン大会に出場したい、ということだ。私は、向上心がある人が大好きだ。返事は二つ返事で快諾した。但し、私からの条件もある。それは、家族に迷惑をかけない範囲で努力すること。女のバレーをするのではなく、ママのバレーをするのだから家族に理解して頂き、応援してもらうのでなければ、意義がない。
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