昨年の3月に途中入社であったが34年間勤務した会社を定年退社した。一緒に定年を迎え退社したのが同じ部署で10年以上一緒であったOさんであった。先週、彼から連絡があり、会おうということになった。
昨日までの真夏日の酷暑であった気温も平年並みに下がってきた夕方、彼はJR西船橋駅の改札口から出てきた。駅前の少し高級風な鳥料理店に入った。
つい最近まで、ジャワ島、シンガポール、マレーシアで悠々自適の生活を送ってきた彼であったが、現役サラリーマンの時とほとんど変わっていなかった。大変な資産家でもある彼は会社でも出世欲がなく自分の仕事を淡々とこなしていた。資産家でもない普通のサラリーマンであった私と住む世界が違っていた。それでも、誕生日が同じこと、「孝」の名前が同じこともあったが、なぜか会社にいるときは決まって昼食を一緒に取り、昼休みも一緒に過ごし、一緒に帰宅するようになっていた。
この日、二人で焼酎1本空けて、色々話した。会社の話題はほとんどなく、最近読んでいる本のこと、英語、仏語、中国語、ロシア語のこと、海外と日本の比較のことなど、2時間半話した。会社のことは、退職した我々には時とともに疎遠になっていた。
話の中で「お前もそうか!?」と握手を求められて同意されたことがあった。
「朝、目が覚めると、きょうも生きている、と実感しているんだ」と私が言った。
「お前もそうか!? おれもそうなんだ。いやあ、やはりナベちゃんだな・・・だから、おれは本とかもろもろ余分なものを捨てているんだ、身の回りをすっきりさせて、いつあの世に行ってもいいようにしておきたいんだ・・・」。
次は10月頃会うことにして改札口で別れた。ホームに階段で降りていくまでに、Oさんは3回ほど振り返り、お互い手を振りあった。あと何回お互い手を振りあえるか・・・?
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