日本の初戦は、欧州チャンピオンのロシアと対戦した。身長2mを超えるガモワ選手がナショナルチームを引退したロシアは、攻撃力が低下し、レシーブのミス、つなぎのミスが多かった。疑問であったのは、ロシアのサーブ。ロシアのサーブは、日本のリベロの佐藤に多く打っていた。通常は、日本の攻撃のエースである木村を狙って打つのであるが、この日の特に3セット目は日本のリベロの正面に多くのサーブを放っていた。まるで、ロシアは日本にわざと良いサーブレセプションをさせてブロックの練習をやっているかのようであった。不可解なロシアのサーブであった。
日本 - ロシア 3 - 1
(25-20, 26-28, 25-16, 26-24)
日本の第2戦は、この大会の直前から練習ゲームを重ねたアメリカ合衆国との対戦。
アメリカのサーブは、セオリー通り、徹底して木村を狙ってきた。バックポジションの木村にサーブレセプションをさせることで彼女のバックアタックの出足を乱すことができる。フロント(前衛)に木村が来ても、彼女にレシーブさせることでスパイク助走のタイミングを乱すことができる。エースに負担をかけることで、4セット以降のゲームになればなるほど疲労が出始め集中力も減退する。
日本 - アメリカ 1 - 3
(19-25, 19-25, 25-19, 21-25)
サーブレシーブからは日本として攻撃の手を増やすことを提案したい。つまり早いバックアタックを打てる選手を常に2人コートに配置する工夫である。従って、リベロは使わない。この戦術は今すぐにできるというわけではない。180cm前後の選手を170cm前後の選手と同じように機敏な動きのできるように小学生時代から育てていかなくてはならない。一言で言うと、日本が世界のトップに立つには、オールラウンダー選手の育成が必要ということだ。小学生の時にスパイクとブロックだけやっていればよいという考えでは、日本一にはなれても、世界一にはなれない。
戦術面では、今からでもできるのが、セッターの位置の移動。移動セットアップ。具体的には、ネット際のセッターの前方3mにレシーブを返球する。相手ミドルブロッカーは右に移動してくる。セッターはクイッカーを絡ませながら、そこからライトへ短めの平行をあげる。別の言い方をすると、レシーバーが失敗したふりをして、実はそれが綿密に組み立てられた戦術であるということ。
失敗から新技術が生まれたことを我々は多くの経験則で知っている。例えば、森田淳悟さんの一人時間差、全力スパイクスイングでのチップスパイクなど・・・。
私が、世界一を目指すチームの監督であれば、特別コーチにマジシャンのMr.マリックスと古武術の甲野善紀さんを招聘したい。アドバイザーには一橋大学教授の野中郁次郎氏を迎えたい。日本のバレーは、小学生バレーからシニアまで筋の通った指導哲学が必要だ。世界の後を追いかけるのではなく、世界が追いかけてくるような強くて面白いバレーボールを提示することが再度世界のトップになる要諦であると思う。
東京オリンピックまで7年ある。若く優秀なコーチも日本にはいる。彼らには現在の世界のトップの国に行き、世界の情勢を肌で感じてもらって、世界をリードする技術論、戦術論、組織論を構築してほしい。なんとなれば、国籍も問わない。日本を愛し、バレーボールを愛しているのであれば構わない。世界の叡智が集まってくるような魅力ある環境を創ればよいことだ。
<順位/第2日>
左から勝ち点、勝敗、得失セット、 国名
6 2-0 6/0 ブラジル
3 1-1 4/3 ドミニカ共和国
3 1-1 4/4 ロシア
3 1-1 4/4 日本
3 1-1 3/4 アメリカ
0 0-2 0/6 タイ
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