今日の朝日新聞の夕刊にセカンドキャリアの記事が載っていた。セカンドキャリアとは、最初の仕事を引退したのち、次に就く仕事のことをいう。ここ10年程前から、日本のスポーツ界でも選手の現役後をどうするのか選手個人だけが考えるのでなく、組織でサポートする体制を構築するようになってきた。
記事では、日本野球機構(NPB)が若手選手対象に最近行った「セカンドキャリアに関する意識調査」の結果について述べてあった。引退後に就きたい仕事については、高校・大学・社会人・プロでの指導者など野球関係が上位を占めた。プロ野球の世界は、毎年80名が引退し、ドラフトなどで80名が新規に採用される。平均年齢30歳前後で引退する選手全員が監督やコーチなど指導者として野球の世界で生きて行けるわけではない。昨年の調査でトップだった「飲食店開業」が6位に落ちた。そして、これまで下位であった「一般企業で会社員」が4位に浮上した。選手たちもOB達の姿を見て、世間は甘くないと現実的になってきたのであろう。
サッカー界の引退はプロ野球より若く、27歳前後と聞く。現役時代は先のことを考えるより今の自分の働きを考えよと以前は教えられてきた。現役の時に引退してからのことを考えるようでは、既に負け犬だ、とも言われていた。引退後のことは引退してから考えればいいんだと。しかし、現実の第2の人生は、引退後に準備しても上手くはいかない、そう甘くはない、ということを今の若い人たちはわかり始めている。
昨年、古巣の大学院での研究発表会のゲストスピーカーで見えた元広島カープの鉄人と言われた衣笠さんの言葉を思い出した。衣笠さんの現役時代にアメリカ人選手が同僚でいた。アメリカ人は、ロッカーの中にいつも法律書を置いている。ある日、衣笠さんが聞いた。
「あなたはいつもロッカーに法律の本を置いて時間のある時に読んでいるが、どういうことですか?」
「私は、引退してアメリカに帰ったら大学に入りなおして弁護士の資格を取りたいので、今から勉強しています」
「えっ?」
今考えると、そのアメリカ人は現役時代からセカンドキャリアを考えていたんだなと思います、と衣笠さんは語っていた。
私も私自身のセカンドキャリアを考え始めたのは55歳になってからであったが、50歳から始めるべきであったと思っている。語学の習得にしても記憶に関する学習は若い時のほうが有利である。現職の仕事をおろそかにせず、定年後にやりたいことを今から計画立てて必要な知識、経験、人脈を少しずつ積み重ねていくことを後に続く後輩に伝えたい。
準備のスタートは遅かった私であるが、それでも指導者を育成するという道をあきらめてはいない。アメリカ社会には定年という制度はない。また年齢や性差で人の能力を区別しない。年だから、女だから・・・と、「・・・だから」と言い訳するのはやめよう。
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