2015年5月3日日曜日

01,May 2015 日本サッカー協会に学ぶ

昨日、バーレーンで行われた国際サッカー連盟FIFA理事選挙で日本協会の田嶋幸三副会長(57)がトップ当選を果たしました。

田嶋さん、いや田嶋先生とは、面識があります。実は、私が54歳で大学院に社会人入学した理由の一つに、そこの大学院に当時日本サッカー協会の技術委員長(バレー協会で言うと強化委員長)として活躍されていた田嶋先生が准教授でいらっしゃったからです。

現場でも活躍されている方にスポーツマネジメントの話を聞くのは、非常に興味がありました。私は「理論」と「現場」は別物と考えています。そして理論は現場から生み出されると思っています。その意味で、書店に並んでいる理論書は、経営書もそうですが、既に過去のものになっており、参考になっても、今の最先端の現場に必ずしも当てはまるものではないと考えています。

新しい実学であるスポーツマネジメントの理論も、従って現場でいま何が起きているのか、何をしようとしているのか、そこから新しい理論が構築されます。大学での研究者の任務の一つです。

残念ながら、田嶋先生は、私が入学した後期に大学を去り、協会の仕事だけに専念することになりました。そしてしばらくして、専務理事を経て副会長に就任、アジア連盟理事にも就任し現在に至っています。同期生たちからは、田嶋先生は、近い将来、日本サッカー協会を牽引する立場に就く人で、そのようにサッカー協会は人材育成を計画的に進めている、との情報も聞きました。

そして、その通りに田嶋先生は、アジアサッカー連盟AFCの中から選ばれる国際サッカー連盟(FIFA)理事選挙でトップ当選しました。今後2019年までの4年任期のFIFA理事として日本では4人目のFIFA理事が誕生しました。

この背景には、2020年東京オリンピック・パラリンピックの招致成功も大きかったと思います。しかし、それ以上に私が評価したいのは、日本サッカー協会が長年続けているアジア貢献事業で派遣した日本人指導者がアジアの発展途上国で成果を出していることです。

カンボジアのサッカーナショナルチームの新監督も、この4月から日本サッカー協会派遣の小原さんが就任しました。ASEAN地域では、他にベトナムも日本人です。
 
日本バレーボール協会も1980年代は、アジアバレーボール連盟の会長、副会長はじめ理事、そして国際バレーボール連盟でも副会長、各委員長に多くの日本人役員が要職についていました。

その背景には、日本が強化の面でアジアをリードしていたことは勿論ですが、日本協会が政府の事業(外務省、JICA、国際交流基金、国立大学、民間企業)と一体になってアジアバレーボールの普及と強化に人的支援を継続的にやっていたことがありました。

2000年前後から日本バレーボール協会のアジア貢献事業は下降していきました。そして、現在、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けての「sports for tomorrow」という国の事業と連携し世界のバレーボール発展途上の国々に指導者を派遣して行こうと動きが再び具体的に出てきました。

日本人指導者の評価はもともと世界的に高い評価を受けています。日本人指導者の指導は緻密です。そして相手の立場を理解して指導することができます。日本のバレーボールを指導するのではなく、相手国のスポーツ環境に配慮して、世界標準のバレーボールの基本を丁寧に指導します。

そのような指導者は、日本に沢山います。課題は、語学です。高度の理論や多くの経験を持っていても、伝える手段としての語学力(コミュニケーション力)が乏しいと指導力も半減します。

老いも若きも、指導者はアジアに出て行って欲しい。欧州や南米、アフリカ、アラブも良いのですがアジアだって「世界」なのです。これからの世界バレーの指導者は日本人が多い、と言われるようになりたいものです。そして日本協会が彼らの支援をしてあげて欲しいと思っています。

1980年代は、日本サッカー界が日本バレー界をお手本にして学習しました。今度はバレー界がサッカー界から学習する番です。そして、次はスポーツ界が他の世界から学習する番になります。
 

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