彼は続けてこう言いました。
私たちが当面目指しているのは、オリンピック出場という途方もない夢を追うことではなく、同じような環境の国で形成しているアセアン諸国(ASEAN10ヵ国)でメダルを獲得することです。4年に1回開催のアジア大会でもメダルを取ることは至難の業です。まずは、アセアン諸国の大会である2年ごとに開催される東南アジア大会(SEA Games)で現在の最下位の状態から上位に上がることなんです。
その意味が、第27回東南アジア大会が近付くにつれ解ってきました。この1ヶ月で首相主催の激励会が2度もありました。その内の2回目には首相から150名ほどの選手全員に300㌦の小遣いがカンボジアオリンピック委員会を経由して手渡されました。
(む、むむ・・・この色は!日常着用するには相当の勇気が要りますね。しかも分厚い裏地が付いています。シンガポールでの東南アジア大会が冷房入りのドームで行われるのであれば、これでも宜しいのですが・・・いえいえ・・・ 文句を言っては準備をしてくれたカンボジア・スポーツ省に失礼です。これを着て、汗をかきながら閉会式に臨み、ベスト4入賞を喜びたいですね) |
そして、本日はカンボジア製の合皮であるが黒の革靴とやはりカンボジア製の赤に近いオレンジ色(緋色というのか?)のブレザー・シャツ・ズボン・ネクタイ一式が役員・選手全員に支給されました。まるでオリンピック選手団並みです。このブレザーは、いつ着るのかアシスタントコーチに聞いてみたら、閉会式の時にこれを着て行進するのだといいます。
ブレザーをよく見ると裏地が付いていて、34度のシンガポールで着るには汗だくだくになるかも知れないと思いましたが、頂き物にケチをつけてはいけません。
それにしても、選手達の意識の高揚という意味では、カンボジアもなかなかやるではないですか。選手達の士気もこれで少し向上してきたように思います。
さて、現在の練習は、特にサーブに力を入れています。アップが終われば、すぐにサーブを50本行います。前後左右に打ち分け、更に強弱を付けます。それまでの彼らのサーブは戦術的なものではなくサーバー個人に任せられていました。それも強いサーブを打つだけでした。
サーブは、自チームにとって最初の攻撃であり、また相手の攻撃力を削ぎ落すことが目的です。ダイレクトポイントは無理でも、相手の攻撃陣(スパイカー)数を一人でも減らすことができれば成功です。そのことで、ブロッカーの負担が軽くなります。相手の攻撃者が1名になれば、そこにブロッカーを集中させ、可能な限り3枚ブロッカー(トリプル)にします。3枚ブロッカーの弱点は、フェイントや軟攻(ソフトスパイク)に対するダイビング・レシーブ(日本語ではフライング・レシーブ)力という守備力がないと自滅するということです。これは、リベロの役割です。
練習の途中でも、集中力を養うサーブを打たせます。昨日からやっているのは、各自ネット・イン・サーブ(サービスされたボールがネット白帯上部に触れて相手コートに入ること)を10分間で1回できるまで行うことです。できなかった選手は、その場で腕立て30回の罰が与えられます。このネットインサーブが10%の確率で、意識的にできるようになってくるとネットの中腹に当てるようなミスは少なくなります。また、集中力も増してきます。
練習最後にも、サーブを打たせます。こうしたサーブに特化した練習を行ってきた成果が徐々に出てきています。スタメン3人が打つジャンピング・スパイク・サーブのスピードは100km近く出て、恐ろしい位です(入る確率は60%ですが)。新興チームの我々の最大の武器は、サーブです。そうでないと強化の歴史で先行しているタイをはじめ、インドネシア、ベトナム、ミャンマーのASEAN4強には勝てません。サーブ、ブロック、そしてサーブレシーブ(reception)の3本柱と戦術で勝ちに行きます。
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