日本時間の午前5時にNHKBS放送で男子バレー決勝戦を観た。決勝に残ったのは、4年前の北京オリンピック決勝戦でUSAに敗北して、今回何とか金を取りたいブラジルと1980年のモスクワオリンピックにソ連の国名で金メダルを取って以来無冠のロシアとの対戦となった。
そして、ロシアが自国開催のモスクワ以来32年ぶりに4度目の金メダルを獲得した。内容は3-2のフルセット(19-25、20-25、29-27、25-22、and15-9)で、特に3セット以降は内容の濃い痺れるゲーム展開であった。
ブラジルが1,2セットを持ち前のスピードで危なげなく取った。ここでロシアの監督であるアレクノが戦術を駆使する。TVの解説者は賭けともいうべき戦術と言っていたが、私はそうは思わなかった。これが、データバレーに対抗する取って置きの丸秘戦術なんだとピンと来た。なんと、後がない3セット目に、今までの試合でミドルブロッカーとして使っていたMuserskiy(ムセルスキィ)をセッター対角のオポジット(以前はスーパーエースと呼んでいた)としてライトに持ってきた。普段から練習していなければ、そう簡単にはできないポジションだ。
対して、ブラジルの監督のレゼンデは、4セット目スタートからオリンピック4度出場で34歳のベテランプレーヤーであるジバを入れて勝負に出た。しかし、これは裏目に出た。ジバは過去の偉大なプレーヤーであり、今回はワンポイント選手で出るのが本来の役割であった。しかし、レゼンデはジバをリスペクト(尊敬)し、彼をコートに残して金メダルを取らせたかったのであろうか?温情が仇(あだ)になってしまった。
ムセルスキィは、217cmの高身長を巧みに使い31得点を挙げた。これは、オリンピックの決勝戦ではオリンピックレコード(記録)である。ゆっくりしたアプローチ(スパイク助走)から高い打点でスパイクを放つ姿は、春高バレーで優勝した市立習志野高校時代の蔭山選手(その後、法政大から富士フイルム、全日本)を思い出させた。
ブラジルは前夜に女子バレーチームが金メダルを獲得した場面を見た。よし、男子もこの勢いで勝って男女アベック金メダルだと気勢を上げたことであろう。しかし、勝利の女神は3セット目、ジュースでマッチポイントのチャンスを2回与えた後、ブラジルを見放した。1964年の東京オリンピックから採用されたバレーボールゲームで男女アベック金メダル国は?実は、ソ連時代のロシアのみで、1968年のメキシコと1980年のモスクワでアベック金メダルを獲得している。
最後に、この試合の審判員で副審を務めたのは大阪府の田野さんであったことを付け加えておく。決勝戦で日本人が審判員を務めるのは、決勝戦に日本チームがいないからでもあるが、田野さんは、的確に副審の務めを果たしていた。選手が良いパフォーマンス(プレイ)をするためには、興奮の中にも落ち着き(沈着冷静)が必要だが、審判員にも同様に必要とされる資質である。
もう1つ、オリンピック裏側の話題を1つ。メダル争いをしているのは選手達や国々だけではない。世界各国のスポーツメーカーが自社の製品を身につけたメダリストの数を競っている。ナイキ、アディダス、プーマ、アシックス、ミズノなどが選手村近くやロンドン市内にショップ(店)を設け、自社の製品を展示したり、契約選手の憩いの場として提供したり、マッサージを施したりサービス活動を展開している。私も入社2年目にモスクワオリンピックへの出張命令が下り、そのような活動を3週間行った。開会式や「赤の広場」は、32年後の今でも鮮やかに思い出される。今回のオリンピックではどこのメーカーがメダル獲得チャンピオンとなるのであろうか?
バレーボールでは、ミズノが男子のロシアで金、女子のUSAで銀、日本で銅を獲得。アシックスが男子のイタリアで銀。オリンピコス(ブラジルのメーカー)が女子のブラジルで金、男子のブラジルで銀。ロンドン大会は、日本のミズノが金メダル数、メダル総数ともNo.1となった。
現地にいるミズノの後輩諸君よ、閉会式後に酔っ払って失態をしないように緊張感を日本に帰国するまで保ってくださいね。
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