BSフジで放映された「三国志」が昨日95回で終了した。
中国人の監督である高希希(ガオ・シーシー)の作品は初めてであるが、面白かった。製作に6年かけたものを、私は4ヵ月ほどで堪能することができた。毎週、月曜日から金曜日までの夕方に放映されたのを録画に撮って、夜に晩酌を採りながら鑑賞するのが毎日の定番のスケジュールとなった。
登場人物で私の好みは、魏の国を建国した曹操という人物。今の時代から言うと大悪人とも言えるが、西暦200年代当時では、大悪人でなければ、あの中国を1/3ではあったが、統治できなかったであろう。曹操を演じた陳建斌さんという俳優に曹操が乗り移ったのか、曹操が陳さんに乗り移ったのかと思えるほど見事な演技であった。
魏・呉・蜀のリーダー達の正義は、三者三様である。誰が正義で誰が悪と言う設定ではない。権力、財力、愛欲、名誉欲など人間の本性が渦巻くなかで、人の善性や愛を讃える場面もあり少しホッとする。上の地位に登って初心を忘れ、転落していく様も描かれている。上の地位に登っても、天子やその一族の反対勢力の反感を買わないように慎重に謙虚に振る舞い、最終的に高齢になって魏の国で革命を起こし国を平定した戦略家の司馬懿(しばい)。彼も好みの人物です。
蜀の諸葛亮(しょかつりょう)vs魏の司馬懿の天才軍師対決も見所があった。戦術とは、人と人との心の戦い、ということを改めて感じ入った。司馬懿没後、彼の子孫が中国を統一して秦という大国を建国する。
司馬懿の無血クーデターが1日で成ったとき、それまで権力を貪(むさぼ)っていた曹一族のトップに、この日のために己の権力欲を隠しに隠し通した彼は言った。
「私は、剣を抜いたことは1度しかなかったが、剣を15年間研(みが)いてきた」
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