2015年3月10日火曜日

09,March 2015 結婚式の翌日の練習に選手達は?

結婚式の翌日の午前中の練習は休みにして、午後は行うことにしていた。

そして、選手達は来なかった。

午後の練習に向かう前に、私の専属車の運転手が現地のクメール語で言った。

「先生、午後の練習には誰も来れないようです。二日酔いのようです」。

やはり、ね・・・予想した通り。それでも、確認のために練習場まで出かけた。体育室には人影はなかった。花婿であるコーチには、休みを与えている。しかし、選手達が結婚式の影響で練習に出れなくなるなんて、予想はしていたが、少し落胆した。

話しは、カンボジアの労働者の現実に飛ぶが、日本からこの国に進出している縫製業者から次のような声を良く聞く。

カンボジアで工場を経営するにあたって最大のメリットは、賃金の安さである。工場労働者の最低賃金は、政府決定でこの1月に月額128㌦に引き上げられた。2018年までには160㌦に引き上げることに政府は既に決定している。

一方、経営者側としては、最低賃金の上昇に見合うだけの生産性をあげることが難しいことにある。生産性を上げることとは、具体的には量産も一つの策であるが、他社とは違う付加価値を付けた製品を生み出すことが大事なことである。バレーボールで言えば、アジアのチームがまだ取り組んでいないような、付加価値のあるチーム。例えば全員セッター、全員リベロ、全員スパイカーのようなマルチ・チームである。

しかし、そのレベルまでには、なかなか直ぐには到達できない。なぜか?

労働者や選手の質が低すぎるのである。教育の問題である。内戦でほとんどの教育者が虐殺されて教育の質が学校の中だけでなく、家庭内においても、そして社会的にも低下してしまった。

労働者や選手のせいではない。歴史が哀しいのだ。

時間を守れない、集中して作業が続けられない、マイペースである、など社会生活を営む以前のレベルであるのが実情である。

「カンボジア人を雇用していると、会社というより学校を経営しているような感覚になる」という話を経営者から良く聞く。私が朝食を採るためにほとんど毎日通う私のアパートメントのお隣のcafeの従業員に私は毎回、指導係りのように注意を与えている。

注文を聞いたら、注文頂いた料理名を繰り返して確認することなど、私も気持ちよくサービスして欲しいので毎回何かしら注意している。そして、自然にできたならば、こちらも「ありがとう」と感謝の言葉を伝える。

バレーボールの指導も会社経営者の仕事も基本的には同じようなレベルにある。私は、まだこの国では専門的なことを指導するコーチというよりも基本的なことを教えるティーチャーの役割が多くを占めている。





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