先月初めに逝去したアップル社創設者のSteve Jobsの伝記が、光速の速さでミリオンセラーとなった。先月末に発売されたばかりの第1巻55万冊と昨日発売されたばかりの第2巻47万冊で、100万冊を突破した。これに電子書籍が1万部加わるという。出版元の講談社が2日発表した。日本だけでこれだけである。他国では、いかばかりか。恐らく、伝記ものとしては、世界最速のミリオンセラーとして記録されるであろう。
私の読み方は、対訳で読み進めているので、さほど先に進まない。現在は幼少時代を読んでいるところだ。彼の両親の記述で読み止まった個所がある。母親のClara(クララ)さんの秘密のことだ。両親は第二次世界大戦終結後に結婚した。作者のWalter isaacson(ウォルター・アイザックソン)は次のように書いている。
”She had a secret that she rarely mentioned to anyone:she had been married before ,but her husband had been killed in the war.So when she met Paul Jobs on that first date,she was primed to start a new life.”
訳者の井口耕二氏は、次のように訳している。
「実は、彼女にはあまり知られていない秘密がある。戦争未亡人だったのだ。だからポール(Steveの父親)とはじめてデートしたとき、新しい生活を始めたいと思っていた」
原文には『最初の夫が戦争で殺された』と書かれているが、訳者は、日本版で戦争の相手は、殺したのは恐らく日本人であったことから、敢えてこの部分の訳を日本人読者への配慮で割愛したのであろう。戦争中の異常な刺激は、人々に生と死を間近に感じさせ、支えあう人を求めるのであろう。3.11の東日本大震災の直後にも、日本では結婚願望者が増加したと聞いている。10代後半のクララが異性に引かれていったのも、恋する乙女心だけでなく、戦争の影響もあるのであろう。終戦となり、平和が訪れれば、子供のいる落ち着いた暮らしをしたくなる。クララに取っては新しい生活を始めるきっかけがポールとの出会いであった。
ポールとクララの両親は、実はSteveの実の親ではない。彼は養子であった。このことは、彼の考え方に大きな影響を与えている。
(画像は、伝記「スティーブ・ジョブス」の作者であるWalter Isaaacson。彼は、今まで、アインシュタイン、ベンジャミン・フランクリンそしてキッシンジャーの伝記も記している、この道の第一人者である)
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