母校の大学院でゲスト講師の授業を聴講した。私が現役の時も、授業にスポーツに関係する企業の社長や会長がゲスト講師として訪れてきた。今夜は日本を代表する超巨大企業であるトヨタ自動車代表取締役会長(4代目)の張富士夫氏であった。張氏は、また昨年の4月から日本体育協会の会長職に就かれている。
張氏は、来月の2日に誕生日を迎えられ、75歳になられるという。雑誌などで良く見た八の字眉と吊りあがった細い眼が特徴的である。人生には数度、分かれ道があった・・・と青年時代に剣道の道に入ったことからお話が始まった。
その後、トヨタ自動車の前身である自動織機を発明した豊田佐吉氏やその子息の喜一郎の業績の話に移って行った。喜一郎氏が、自動社産業は「経済波及効果が高い」故に『産業報国(産業は国に報いる)』ができると唱え、「3年でアメリカのBIG3に追いつけ(生産性を上げろ)」との号令を出した。
当時のアメリカの生産性は日本の10倍であったが、米国人が10人でやることを、トヨタは1人でやろうと考えて実行した。
1943年に張氏はトヨタの生産方式を大野耐一さんから、更には鈴村さんから指導された。要は、無駄を省いて生産性を上げて行った訳である。 「仕事には付加価値があるが、無駄には付加価値がない」という。
特に印象に残った言葉は「『なぜ』を5回繰り返せ」ということであった。5W2Hとは、良く聞いた言葉であるが、トヨタにおいては、5wだけであると張氏は言った。つまり、トヨタの5wとは、『why、why、why、why、why?』のことである。そのことで、現象の裏にある原因が分かり、更にその原因の真の原因が分かる、ということだ。
原発のことにもアメリカと日本の違いのなかで触れた。アメリカにはリスク・マネジメントがあるが、日本にはない。そのことをケビン・メアーの本で知った、とも語った。
最後には、経営論からスポーツ論に話は移って、2コマ分180分のお話は幕を閉じた。最後に「勉学もスポーツも、価値は同じ」と言われたことが印象に残った。スポーツ部活で日本一になることより勉学で東大に入ることの方が大事と言っていたT高校の教員に聞かせたい言葉であった。
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