2015年10月9日金曜日

08,Oct.2015   カンボジア生活: 病気

今週、カンボジアの日本大使館から「デング熱流行の兆し」に関して注意喚起の文書が在留邦人に対して出されました。

昨年同時期と比べ、今年は患者の大幅な増加が記録されています。今年になって、カンボジア内で少なくとも24人の死亡例を含む7,800人以上の患者が報告されています。大半の患者の年齢は5才から14才までです。

デング熱に感染すると数日程度の潜伏期間を経て発症します。主な症状は発熱や発疹であり、大半のケースでは致死性は低い(1%程度)です。ただし、まれに重症化して出血熱の症状を伴うケースがあり、重症の場合は死の危険が生じます。
 
従って、カンボジア国内で既に24人が亡くなっているというのは、あまりに致死性が高いと言えます。こちらの人は、一般的に、病気が重くならない限りほとんど病院に行きません。お金がかかるというのが一番の理由です。日本の皆保険制度は、この国にはありません。日本では、子供が少しでも状態が悪くなると、親は病院に連れて行きますが、この国ではお金がかかるので、まずは売薬で様子を見たり、伝統的な治療法を施したりします。

「デング熱」とは、聞きなれない言葉ですが、日本でも昨年8月にデング熱の感染者が報告されました。日本国内での感染例は70年ぶりということでした。感染者は東京の代々木公園内で蚊に刺されたということです。

「デング熱(Dengue fever)」はやぶ蚊が媒介するデングウイルスによる感染症です。主な感染源であるネッタイシマカの生息域、すなわち熱帯・亜熱帯地域に多く見られます。日本にも生息するヒトスジシマカもデング熱を媒介し得ます。

「デング熱」の歴史は古く、西暦265年―420年の中国晋王朝で最初の症例が記録されています。その時は「水毒」と当時の医学書に書かれています。1906年になると、デング熱がヤブカによって媒介されることが確認され、1907年には、黄熱病に次いで2番目に早く、ウイルスが原因の疾患であると発表されました

困ったことに、この感染症には、ワクチンも特別な治療法(例:インフルエンザにおけるタミフルやリレンザ)がないことです。デング熱 に対しては、いまのところ一般症法(解剤アセトミノフェン投与)が行われています。

私は毎日、蚊の駆除に追われています。以前にもこのブログに書きましたが、こちらの蚊は音もなく近寄ってきて、気が付いた時には痒みを感じます。そしてその部分の痒みが数日続きます。先週、こちらのマーケットで強力な殺虫スプレーを購入して、蚊を駆除していますが、スプレーの匂いが鼻につくほど強烈で、蚊よりも私のほうが先に気持ち悪くなってしまいます。
 
「Mr.渡邉、部屋で倒れているところを管理人に発見される。原因は蚊取り殺虫スプレーの噴射しすぎか?」なんて新聞に報じられるかもしれません・・・。

今週は、今年度のノーベル賞受賞者が発表されていますが、医学賞の分野で、どなたかこの感染症への特効薬であるワクチンを開発して欲しいものです。

現在、デング熱は、人から人に感染しないと言われていますが、いつ突然変異で人から人に感染しないとも限りません。

しかし、昔の人は、子どもが蚊に刺されたぐらいで亡くなったことなんて理解できなかったのでしょうね。感染症というのは眼に見えませんから怖いですね。

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