日本と中国・韓国との関係が壊れかけている。東アジアの領土をめぐって日中、日韓の対立が深刻化している。しかし、国家間の政治矛盾と我々スポーツ人は別と考えている。確かにスポーツは政治に利用され翻弄されてきた歴史がある。先週も、東アジアで開催された多くの国際大会で日中韓の選手が安全性の確保のために大会参加を取りやめた。
作家の村上春樹さんが日中韓文化交流への影響を憂慮するエッセーを朝日新聞に寄稿した。その中で、村上さんは、今回の件を「それは安酒の酔いに似ている」と書いている。「安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。人々の声は大きくなり、その行動は粗暴になる。論理は単純化され、自己反復的になる。しかし賑やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ」。そして「そのような中国側の行動に対して、どうか報復的行動を取らないで頂きたい。『我々は他国の文化に対し、たとえどのような事情があろうとしかるべき敬意を失うことはない』という静かな姿勢を示すことがてきれば、それは我々にとって大事な達成となるはずだ。それは、まさに安酒の酔いの対極に位置するものとなるだろう。安酒の酔いはいつか覚める。しかし魂が行き来する道筋を塞いでしまってはいけない」。
我々スポーツ界の仲間は、こんな安酒を飲むような人間ではない。我々は歴史的にも政治的にも、近くて遠い国である。お互いの違いを明確に認識しながら美酒を酌み交わす機会を数多く設けることで、近くて近い国の関係を築くことができる。
中国の南京市には私のバレー仲間がいる。彼も今回の件には心を痛めている。大方の国民は冷静である。
0 件のコメント:
コメントを投稿