2012年9月13日木曜日

Wed.September 12,2012 米国女子バレーチーム新監督は・・・

 11日の共同通信の記事によると、USAバレー協会は、USA女子バレー代表の監督にカーチ・キライ氏が就任すると発表した。
『米国バレーボール協会は11日、五輪の6人制とビーチバレーの両方でただ一人、金メダルを獲得したカーチ・キライ氏(51)が女子代表の監督に就任すると発表した。
 キライ氏は2009年に女子代表コーチに就任しロンドン五輪での銀メダル獲得に貢献した。選手としては6人制で1984年ロサンゼルスと88年ソウルの両五輪、96年アトランタ五輪ではビーチバレーで金メダルを獲得した。(共同)』

 
 今回のLONDONオリンピックで金メダル確実と言われていたUSA女子バレーチームであった。予選グループで圧倒したブラジルと決勝で再戦、1-3で敗退。USA女子バレーは、オリンピックでまだ金メダルを取っていない。キライ氏に監督の要請があったとしても不思議ではない。

 選手時代のキライ氏は、1980年~90年代に渡ってMr.Volleyballと呼ばれた。FIVB国際バレーボール連盟から20世紀最優秀選手に選出され、2001年にバレーボール殿堂入りした。

 名選手、必ずしも名監督にあらず、と言われるが、キライ氏にはそのようなレッテルは無用であろう。『カーチ・キライのパーフェクト・クリニック』(日本文化出版、1987年12月)という氏が著(あらわ)した本を読めばわかる。私はこの本を20年前に読んだ。そして日本のバレーをお手本にしているが、氏独自の理論も面白く大変参考になった。翻訳は、古市英先生(故人、当時早稲田大学監督)も懐かしい。先生とは20年前になぜか気があって、良く一緒にお酒を飲んでいました・・・。
画像で現役時代の氏が着用しているユニフォームやシューズは、今年私が定年退職した会社の製品である。ユニフォームのデザインはアメリカ側からの提案であった。何の変哲も無いネイビーブルーの短めのポロ襟タイプ。我々はこのようなデザイン性の無いものでは商品化した場合売れないであろうと観念した。高い契約金をUSAバレーボール協会支払って、ロスオリンピックでメダルをとっても日本国内のマーケットでは難しい。ところが、USA男子バレーチームが金メダルを取り、キャプテンのカーチ・キライが着用しているUSAナショナルチームモデルは日本国内で発売されるや大人気のヒット商品となった。端正な顔で、金髪をなびかせ、常に真剣にプレーするカーチ・キライがシンプルな商品に付加価値を付けてくれた。名前はキライだが、私はもとから彼のフアンであり、益々大スキになった。

 当時の話題をもう一つ。我々は、シューズも提供した。バレーボール専用の当時の新製品をアメリカ支社を通じて送った。返事はNO! 代りに選択したのが外靴として提案したトレーニングシューズ。移動用にアウターソール(地面に触れる部分)は、分厚くなっている。つまり、選手たちにはインドアといえば、バスケットのイメージが高い。事実、当時のバレーボール選手はバスケットも楽しんでいる選手が多かった。従って、バスケットシューズに近い底の厚いトレーニングシューズを選択したのだ。当時の日本のバレー界ではレシーブが重視されており、シューズの底の厚いものは敬遠されていた。今でこそ、男子選手用のシューズはキライ達が選択したような底の厚いものになっているが、彼らの選択眼は正しかった。我々はトレーニングシューズのアッパー(表)を軽量のカンガルー革にして別注品を作りチームに納めた。結果は金メダルを獲得した。
 
 

 学んだことは、商品企画は現場の声を丁寧に拾うことが大事であるということ。最近話題の「踊る大捜査線」の青島刑事の『事件は会議室で起きているんじゃない・・・』に通じる。
それにしても、キライのアンダーハンドでのレシーブ、腕が1枚の平たい板のようになって美しいですね~。肩甲骨周りの筋肉が硬くなった私には、なかなかできないフォームです。実は、キライも肩甲骨周りの関節の動きは大きくない。そこを彼は肩甲骨を挙げ(肩をすくませる)、そして手の組み方で改善した。つまり、一般的なやり方の指を包むやり方ではなく、指を絡ませるやり方に変えた。そして、面を崩さぬように肩周辺の筋肉で補っていたんです。

 そういえば、思い出した・・・。(最近思い出すことが多い・・・進化してきたな我輩も・・・)。日本のMr.Volleyballといえば森田淳悟さん(現 日体大教授)であるが、森田先生も一般のやり方では腕の面がフラット(平ら)になるように組むことができなかった。そこで、先生は、小指と薬指だけ絡ませることによって腕を回外(体の外側に回す)させ易くすることで上腕の面が平らになるように工夫されていた。

 東西のMr.Volleyballと同じように、この私も指を絡ませたアンダーハンドをソフトバレーボールやママさんバレー、高校バレーの指導で実演しているが、未だに「Mr.」の称号をいただいたことが無い。やはり、Mr.の称号には容姿も関係しているのでしょうね・・・。

 ああ・・・また、長いブログになってしまった。岩本洋先生(元 全日本女子監督)から怒られるだろうな。
 「ナベさん、我々目の不自由な年寄りのことも考えて、短文で頼むよ、短文でね」。
 






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