2020年の夏季オリンピック開催を目指す東京都の猪瀬都知事が27日米紙ニューヨークタイムズのインタビューでライバルのトルコ・イスタンブールを批判した。国際オリンピック委員会(IOC)は倫理規定で、他都市を批判することなどを禁じている。さっそく、IOCから東京招致委員会に注意を促すメールが届いた。
この「注意」は、罰則段階としては、私の判断では「注意」より一段厳しい「イエローカード」、つまり反則と捉える。バレーボールでは、インターフェアの反則として、相手に1点与えることになる。
「イスラム教の国が共有するのはアラーの神だけで、お互いに喧嘩している」。知事はインタビュー最後の雑談で思わず口にした。ご本人は、ノンフィクション作家の経歴も長い。言葉を操るプロらしからぬ失言であった。公人としての発言には責任が付きまとう。ジャーナリストは皆知事の味方ばかりではない。隙あらば足元を掬ったり、絡めたり、窮地に貶めんとする輩もいる。
闘いには、ライバルへの敬意が必要だ。イスラム教という異文化を批判することは、外国から日本の仏教という異文化を批判されることと同じだ。お互いに良い気持ちはしない。異文化への敬意を持つことは日本の品格を表す。
ソフトバレーの交流試合で、相手のプレーが素晴らしいときに、私は思わず相手のプレーを褒めてしまう。その後、相手のプレーがどうした訳かそれ迄の気迫迫るプレーが影を潜め、紳士淑女のプレーになり、気が付くと我がチームが勝利している。そんな経験を思い出した。人間関係は相手の欠点を探すことより長所を探して接する方が上手くいくようだ。
私だったら、雑談でこう言う。
「ところでトルコ料理はスパイスが効いて美味しいね。週に1回は都内のお店に行っているんだ」。9月の決戦投票で、もし、もしも東京とマドリードが残った場合、イスタンブールは果たしてどちらに付くか?そこまで都知事には熟慮願いたい。
いずれにしろ、レッドカードが出た訳ではない。このミスを教訓にして招致レースを最後までフェアプレーで戦って欲しい。躓(つまず)きもチャンスも思いがけなくやってくる。真面目に諦めずにやり続けることで道は開けてくる。
0 件のコメント:
コメントを投稿