2013年1月19日土曜日

Fri.Jan.19,2013 アルジェリア 人質事件

アルジェリア東部でプラントの大手、日揮の日本人ら多数の外国人が拘束された人質事件でアルジェリア政府軍は17日、実行犯のイスラム武装勢力が立てこもるガス関連施設を攻撃した。多くの死傷者が出たもようだ。


(チュニジアは、アルジェから東方にある。イタリアに最も近い)

現場は、私が38年前に青年海外協力隊員として派遣されたチュニジアの国境の直ぐ脇である。チュニジアには砂漠はほとんどない。街から南部に下っていくと土と砂の中間の土漠(どばく)地帯がしばらく続く。その先に良くTVや映画で見るサハラ砂漠が延々と広がっている。「サハラ」とは、アラビア語で「砂漠」を意味する。今回の現場は、そんな砂漠の中で働く外国人社員や技術者を意図を持って襲った。

メディアが使う「邦人」とは、「外国で暮らす日本人」のこと。「異邦人」は、「日本で暮らす外国人」のこと。チュニジアでは、私も邦人の一人であった。日常はゆったりと時間が流れているアラブ世界だが、火種は常にある。私がチュニジアにいた当時も時々隣国のカダフィー大佐率いるリビアからチュニジアの反政府に銃器が流れてきて、時折市内で銃声の音が聞こえた。2年前に、チュニジアから始まった「アラブの春」の民主化運動が隣国のリビア、エジプトにも飛び火して独裁政権が相次いで崩壊した。そして、リビアからカダフィー政権時にあった大量の銃器がマリのイスラム武装軍に渡っている。

アルジェリア政府は、関係各国と調整もせずにイスラム武装軍に人質ごと攻撃したと、伝えられている。関係各国は時間をかけ、人命第一の下、交渉で解決しようとしているが、アルジェリア政府はイスラム武装勢力を撲滅せんと血気に逸(はや)っている。

イスラムの歴史、アフリカ大陸の歴史、貧困、大国の野望・・・背景には色々あるが、今は、邦人に限らず人質になった人達の無事の救出が最優先課題。関係諸国の首脳がここで団結して事に当たることが急務だ。安倍総理も急遽、東南アジア歴訪から前倒しで日本に引き返した。国のリーダーとしてのリーダーシップを確実にそして迅速に果たして頂きたい。グローバル化の時代。日本の経済も世界の先端で闘っている日本人が大勢いる。今後更に多くの日本人が海外に出て外国人と共に働いて行かざるを得ないのが日本の現状。過酷な自然の中での業務でストレスが溜まりに溜まっている人達に、今度は命の危機が迫っている。異国の地で命を落とすことのないよう無事を祈るばかり。

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