そんな心理状態の選手にコーチは自分の目線の高さを意識して話しているであろうか。不安になっている選手に、コーチは選手と同じ目線の高さでアドヴァイスをする方が効果がある。身長が高いコーチであれば、選手をベンチに座らせコーチが片膝を着いてアドヴァイスすると良い。選手は落ち着いて聞いてくれる。
アドヴァイスの内容は、その日の自分たちの良いところを強調するのが良い。選手たちの目線より高いところで、そのセットのミスを叱るのであれば、プレーが萎縮してまた同じミスが出てしまう。
身長が高くて羨ましいなと思い出されるのは、名門四天王寺高校女子バレー部の前監督であった佐藤忠明(ただあき)先生である。身長は175cm程であるが、手足が長い。高校女子のネットなどジャンプしなくとも手が出る。先生が床に立ってボールを打っても打点はほぼネットの高さ。実践的なレシーブ練習にもってこいのコーチである。先生は高校教員でありながら1972年のミュンヘンオリンピック(銀メダル)女子コーチとしても活躍された。学校を退職後は1984年から4年間、東洋紡の総監督、部長としてマネジメントにも手腕を発揮。2009年から昨年までJVA貝塚ドリームスの総監督として70歳を過ぎても精力的に指導された。
2年前の夏に貝塚の体育館で再会した。そのときの先生の一言が印象に残っている。
「渡邉さん、日本のバレーボール界は、今や海外に学ぶ時代になった。しかし、若い人達には、今の海外トップクラスの指導者たちは皆、若いときに我々日本の日本バレーを学んだということの歴史を知って欲しい」。
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