私の住む首都プノンペン市から車で5時間ほどのところにバッタンバンという町がある。バレーボールの盛んな土地で、ここの警察クラブチームは、国内最強のチームでもある。ナショナルチームにも3名が選出されている。
そのバッタンバンという町の近くの村でHIV感染者が140名出た。既に死亡している人も数名いる。
原因は、村で20年以上、村人の健康を守ってきた医師が注射針を複数の患者に使い回ししたということが今日の新聞で発表されていた。HIVの感染経路は3つある。性交渉感染(Sexual trancemission)、血液感染、母体(母乳)(Mother -to-trancemission)からの乳児への感染。今回は、使い回しした注射針からの血液感染の可能性が大である。その医師は1980年代に難民キャンプで治療者としての教育を受けたが、正規の医者としての免許は持っていなかった。
我々も知識として持っておきたいのは、HIV感染 = エイズ ではないということである。
HIVとは、ヒト免疫不全ウイルス (Human Immunodeficiency Virus)の頭文字を取ったもので、ウイルスの名前。一方、エイズ (AIDS) とは、後天性免疫不全症候群 (Acquired Immunodeficiency Syndrome) の略称で、HIVに感染した人が、免疫能の低下により引き起こされる23(専門的過ぎて疾患名を覚えられない)の合併症のいずれかを発症した状態のことをいう。
HIVに感染していても、この23疾患のいずれかを発症しない限りはエイズとは言えない。つまりHIVはエイズの原因となるウイルスの名前で、エイズはHIVによって引き起こされる病気の総称である。
予防薬はまだ完成されていない。治療薬(抗HIV薬)はあるが、HIVを完全に排除できるものでなく、数種類の薬を一生飲み続けなくてはならない。
カンボジアはHIV/AIDS対策で高い評価を受けてきており、国家エイズ対策局によると2013年に0.6%だった同国の15~49歳のHIV感染率は2014年には0.4%に下がっている。現在、カンボジアには推定7万3000人以上のHIV感染者がいるとされている。
我々は文明を築き上げてきた。その反面、心身に新たな病気も発生してきた。以前は、鳥など一部の動物間だけしか感染しなかったウイルスが何らかの原因で変化して人間にも感染する例も出てきた。エボラ熱も現在終息に向けて各国が協力して封じ込めようとしている。
「OUTBREAK(突然発生)」という映画が、ダスティホフマン主演で10年前に上映されたが、目に見えないウイルスで感染していく病気ほど恐ろしいものはない。国家間の戦争でも使用禁止になっている。
62年間もこの世に生かされている私であれば、病気でぽっくりとあの世に行っても、まあしょうがないか、と思うが、生れて間もない幼児や将来のある子供たちまで人害でHIVに罹り、死亡したり、一生涯、治療薬を飲み続けなければならない現実を思うと悲しくなる。
現在、治療や感染拡大に対処されているWHOをはじめ国境なき医師団などの関係者に敬意を表するとともに、病理学、医科学研究者など予防・治療薬を開発されている方々に成果の発表を期待するところ大である。
追記)WHO(the World Health Organization)から派遣されている調査団のリーダーは、Dr.Masami
Fujitaということが判った。おそらく日本人だと思う。誇りに思う。
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