2008年6月10日火曜日

水着問題に揺れる人間群像

 アテネ五輪男子平泳ぎ2冠の北島康介選手(日本コカ・コーラ)(25)は8日、東京・辰巳国際水泳場で行われた「ジャパンオープン」)の二百メートル平泳ぎ決勝で、2分7秒51の世界新記録を樹立した。
 北島選手はこの日、英国スピード社の水着「レーザーレーサー(LZR)」を着用してライバルのブレンダン・ハンセン選手(米)が2年前に出した2分8秒50を0秒99更新し、自己ベストも一挙に1秒33短縮。北京での五輪連覇に向けて、大きく弾みをつけた。
 国内水着メーカー3社とサプライヤー(物品提供)契約を結んでいる日本水泳連盟は、現在の規定で他社製品の五輪使用を不可能としている。だが今大会で出た計17個の日本新のうち、LZR着用選手によるものが16個を占め、改めて優位性が示された。この結果を受けて、本日10日の常務理事会では、選手が自由に水着選択できるよう規定を改正する。

 私が、今回の水着騒動で感じたのは、「スポーツ科学」「スポーツ・マーケティング」「スポーツ社会学」という三つの局面からの観方である。「スポーツ社会学」の観点から言うと、健康に良くない体を極限まで締め付け凹凸を減らす水着(用具)を身にまとい、世界で一番早く泳ぐことにどのような意味があるのであろうか、ということになる。そこに金メダルがあるから泳ぐのだ、というスイマーもいるだろう。では、そこまでして得る金メダルの価値とはなんであろうか。

 天才的なスイマーでオーストラリアのイアン・ソープという若者がいた。シドニーとアテネのオリンピックで金メダル5個、銀2個、銅を1個取った。そして2006年に若干24歳で意欲の減退を理由に引退した。叶うことなら、イアン・ソープにお願いしたい。そこら辺のスポーツ店で売っている普通の水着で大会に出てきてハイテク水着の選手を負かして欲しい。
 今月初め、陸上リーボック・グランプリ男子100メートルで、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が9秒72の世界新記録を樹立して優勝した。彼のウエアはどこにでもあるランニングシャツであった。そのランニングシャツをひらひらさせながら彼は記録を打ち立てた。あのように爽快な気分にさせてくれる普通のウエアを身に付けて優勝するスイマーが出てきて欲しいものだ。人が道具を使いこなすのであり、人は道具に使われるのではない、と私は考えるのであるが。しかし、その私も今このようにパソコンで文章を打っているのであるが、時々打たせられている感がする。そろそろ、打ち止めとしよう。

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