2010年5月23日日曜日

5/23 TVドラマ「チェイス」を視て


 最近のNHKさんの硬派ドラマは面白い。先日終了した「八日目の蝉」も深い内容であった。土曜日に時々放映されるシリーズものは好評で再放送もされている。昨日6話で完結した「チェイス~国税査察官」も見ごたえがあった。NHKはコマーシャルがないので、物語の展開に最後まで集中して入り込みやすい。脱税を取り締まるという普段国民が知らない世界を等身大の人間が演じて見せてくれる。そしてある国税官の家族が脱税のスキーム(注意深く練られた組織だった企画、計画)の犠牲になり死亡する。そこから家族の崩壊、マネーゲーム、再生、罠、告発、復讐、最大の悪、愛とストーリーは目まぐるしく展開していく。主役の江口洋介も悪くない。しかし、何といっても無機質な悪役の脱税指南役村雲を演じるアラタという役者が不気味で謎の過去があり、ストーリーを一層際立たせている。これからこの役者はブレークしていくであろう。
 最後のシーンは、母親に裏切られ、捨てられても母を愛する村雲が母親から面会さえも拒絶され寂しくベンチに座ったまま息を引き取っていくのであるが、何んとも寂しいそして心の暗部の怖さを思い知らされる。金のために殺人を行うことは勿論罪深いことであるが、人の愛をそれも我が子の愛を踏みにじる行為も罪深いものではなかろうか。社会的に考察するとすれば、愛を見失った人間は社会を憎んでいくしかないのであろうか。
 私にも生みの親はいたはずだ。はずだ、というのは、生死が分からない。分からないというより、今更生死を知りたくもない。そして、生みの親より育ての親の方を大事にしていきたい、と思っている。育ての親は新宿区に住んで今でも小さな工場を営んでいる。昔々、私が19歳の時に一人ぼっちでいた私をコーチに迎え入れてくれたママさんバレーの一人だ。
 しとしと雨の日曜日には、昔のことがなぜか思い出される。

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