2015年9月5日土曜日

04,Sep.2015    Refugees Crisis

トルコの海岸の波打ち際に打ち上げられ横たわっているのは、人形ではなく、まぎれもなく3,4歳の少年でした。

(波打ち際に横たわっている少年の遺体の写真もありましたが、あまりにも哀れなのでここへの掲載をやめました)
(このようなゴムボートでエーゲ海を難民が渡る。大波が来たらひっくり返る恐れもある)
 
今朝、インターネットのニュースで見た写真は衝撃でした。少年はシリアからの難民で、彼の母親そして5歳ぐらいの兄と思しき遺体も同様に波打ち際で見つかりました。トルコから小舟で家族とともにギリシャに渡る途中、荒波の中、エーゲ海に振り落とされてしまいました。最初は、叔母のいるカナダに渡航しようとしたのですが、カナダ政府から断られ、やむなく欧州を目指したということです。

ここ2週間で私が新たに覚えた英単語にRefugeeMigrantがあります。前者は「難民」、後者は「移民」という意味です。難民は主に戦争で慣れ親しんだ祖国を脱出した人達です。移民は、生活苦などから新天地を求めて祖国を出た人たちです。

難民の数は、今年に入って急増しました。報道によると移民・難民全体の80%は難民ということです。難民の多くは、シリア、イラクなどからはトルコ、ギリシャのルートを経由して、またアフリカからはイタリアを経由してドイツを目指しています。今年1月から9月3日までに36万4183人が地中海を渡って欧州に到着しましたが、2664人が渡航途中に死んだということです。

今回の衝撃的な写真は、欧州各国首脳にもショックを与えました。そして、昨日にはドイツ、フランス、イタリアの外相が集まり、欧州全体で難民を受け入れることをEUに働きかけると決めました。但し、欧州の中でも英国は、移民、難民の受け入れを拒否しています。

私は、この写真を見て、ベトナム戦争時の報道写真で、戦火の中で裸の少女が泣きながら途方に暮れて歩いている姿を思い出しました。

戦争や自然災害で最初に被害を受けるのは、抵抗力がまだ備わっていない弱い子ども達です。特に人間が起こした戦争でやむなく慣れ親しんだ祖国を去っていく難民には国を超えて人間としての責任で援助の手が必要です。

波打ち際に打ち上げられ、小さな頭の顔半分が砂に埋もれたまま横たわっている子どもを見て、彼が生誕したときの家族の祝福の声と突然過酷な運命に見舞われ、僅か45年で生命を絶たねばならない彼の短い人生に重く苦い痛みを感じました。

この文章を打った後でCNNのニュースを見ました。アマンポールというキャスターは彼女の番組の中で、この問題を取り上げていました。そして、私が思い出した例のベトナムの少女の写真が画面に出てきました。この1枚の写真は、ベトナム戦争の終結を早めたと私は思っています。今回の難民問題も、今回の悲劇的な写真の力で良識ある世界を動かしていくと確信しています。そのことが、亡くなった少年の霊に捧げることにもなります。

幸運にも生き延びた父親は、亡くなった妻と2人の子供たちの遺体をシリアに戻って埋葬するとのことです。辛い旅路です。

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