読者のママキチさんというソフトバレー愛好者の方から質問がきました。視野を広くしてプレーするためにはどのような練習をしたらよろしいでしょうか?という質問です。
初心者の方達は、ボールを良く見てプレーしなさいと、コーチに言われます。確かにそれは基本です。初級レベルではそのことが大事です。中級レベルに行くには、ボールだけでなくボールを次に送る相手(仲間)を、更にはボールを扱おうとしている相手(仲間)を見る必要があります。視点の順序としては、ボールを見る、相手(仲間)を見る、そしてまたボールを見る、ということになります。初級レベルの方は、ボールだけ見ているんですね。つまり、周りを見ていない。従って、1個のボールに複数の人間が取りに行こうとして接触したり、逆に互いに遠慮して手を出さない、いわゆる「お見合い」をやったりのミスプレーを犯してしまいます。
私が高校生のとき、監督からよく言われました。「おい、阿部(旧姓です)相手を見てボールを返せよ!」。しかし、口で言われただけで、監督の指示通りできる生徒はほんの一握りだけでした。その後、私が指導者になって、ボール以外の物体を見るにはどうしたら良いのか、何か良い練習法はないものか考えていましたら「スポーツビジョン・トレーニング」という本と出合うことができました。この本では、周辺視野、瞬間視、動体視力という眼の能力アップを解説していました。スポーツビジョン関連の本も買い漁って結構学習しました。その成果があったのでしょう。40歳から始めたソフトバレーで実践してみたところ、相手のコートが良く見えるようになり、攻撃は強烈なスパイクを打たずとも、ネット際へのフェイントかエンドライン際へのプッシュの2つの攻撃スキルだけで面白いように決まるようになりました。相手のチームにも私と同じような視力を持つプレーヤーがいると、ゲーム中に頻繁にお互いの眼がネットを通じて合うものでたがいに苦笑したものです。元全日本男子のミドルプレーヤーで天才と言われた岩島選手(多治見工業、法政大学、富士フィルムで活躍、全日本ジュニア監督)は、そのようなとき、眼で相手にフェイントをかける、と教えてくれました。なるほど、と納得した次第です。
さて、練習方法ですが、ママキチさんでも出来る簡単な方法を教えます。通常のパス練習で相手の人がパスした後、ママキチさんはそのボールを見ます。そのボールの高さと方向(放物線)を確認したら、相手の人に手でサインを出してもらいます。ママキチさんは、両腕をオーバーハンドできる準備の構えを維持して、ボールの落下点に移動しながら、そのサインをちらっと見ます。この時の見方がポイントです。頭を動かして見ないで、目玉だけ動かして見ることです。頭を動かして相手を見ると画像全体が動いてしまいピントが合いません。目玉だけ上下左右に素早く動かすことです。そして、相手の手のサインがパーであれば、「パー!」と大きな声を出して反応してオーバーハンドパスを、サインがグーであれば、「アンダーハンドパス」を行います。チョキだったら?それはママキチさんが考えてください。真似からオリジナルを作ることが脳の活性化にもつながります。イミテーションからクリエーションですね。例えば、チョキだったら、低く速いオーバーでの平行パスでもいいですね。更には、パーでひらひらさせたら、オーバーで一度頭の上方にあげて(直上パス)から180度ターンしてバックパスで相手に返球することもパスのスキルアップになって大変効果があります。考えていくとどんどん出てきますね。片手ではどうか?ヘディングではどうか?ジャンプパスではどうか?腕立て伏せをしてからパスするのは体力トレーニングになるがどうか?この練習は2人でやるのですが、最初のレベルでは連続させないで、1本ずつやりましょう。投げる人は常に投げるだけ、ボールを受ける人はパスするだけの一方通行の練習が効率が上がります。更には3人で一列になってもやれます。三角形でやるとより実践的になってきます。
また、アップの対人パス練習中に、誰か特定の人(物)を、ボールが空中にある間にちらっと見るのも効果があります。例えば、体育館玄関とか、監督さんとか、仲間とかをちらっと見るのです。体育館以外では、電車がホームに出入りする時に、車両の中の人を見たり、車体の広告を読んだりするのも手軽で良いですね。但し、目玉だけキョロキョロさせるので、人が見ているところでやると「?な人」と間違われる可能性もありますのでご注意してください。新聞を読むときに、1秒~2秒だけ紙面をざっと眺めた後に閉じて、どんな記事が載っていたかを言い当てることも瞬間視が鍛えられて宜しいですね。
左右・上下に目玉が動くようになったら、次は前後です。深視力といいます。手前と深いところを交互に見るトレーニングです。
ボールの中には何が詰まっていますか?空気ですね。意思は詰まっていません。意思は人間が、プレーヤーが持っています。ですから、ボールを視認したら、次はプレーヤーを見るのです。そしてまたボールを見てご自分の最終の意思決定をするのです。これが、サッカーでもバスケットでもハンドボールでもチームでのボール・ゲームに必須の能力である「状況判断力」といわれる能力です。
さて、昨日は、UAE(アラブ首長国連邦)でプロコーチ活動を始めた足立さんと半年ぶりに御茶ノ水駅の純喫茶で再会した。最近のアラブ、ヨーロッパ事情を聞かせていただいた。UAEは1971年に7つの部族が一緒になった国なので王族が大変多い。そしてオイル・マネーの国でもあり、そのパワーでスポーツの世界にも大きな影響を与えている。世界のバレー界はどこに向かっていこうとしているのか?そして日本はFIVB(国際バレーボール連盟)とどのような関係を今後構築するのか?FIVBで日本人で唯一現役インストラクターである足立さんとは、来週また話を続ける予定だ。来月にはUAEからナショナルチームを支援している王族の一人が日本を訪問するとのことだ。私の錆びついたアラビア語を少し磨いておかないといけないかな?
初心者の方達は、ボールを良く見てプレーしなさいと、コーチに言われます。確かにそれは基本です。初級レベルではそのことが大事です。中級レベルに行くには、ボールだけでなくボールを次に送る相手(仲間)を、更にはボールを扱おうとしている相手(仲間)を見る必要があります。視点の順序としては、ボールを見る、相手(仲間)を見る、そしてまたボールを見る、ということになります。初級レベルの方は、ボールだけ見ているんですね。つまり、周りを見ていない。従って、1個のボールに複数の人間が取りに行こうとして接触したり、逆に互いに遠慮して手を出さない、いわゆる「お見合い」をやったりのミスプレーを犯してしまいます。
私が高校生のとき、監督からよく言われました。「おい、阿部(旧姓です)相手を見てボールを返せよ!」。しかし、口で言われただけで、監督の指示通りできる生徒はほんの一握りだけでした。その後、私が指導者になって、ボール以外の物体を見るにはどうしたら良いのか、何か良い練習法はないものか考えていましたら「スポーツビジョン・トレーニング」という本と出合うことができました。この本では、周辺視野、瞬間視、動体視力という眼の能力アップを解説していました。スポーツビジョン関連の本も買い漁って結構学習しました。その成果があったのでしょう。40歳から始めたソフトバレーで実践してみたところ、相手のコートが良く見えるようになり、攻撃は強烈なスパイクを打たずとも、ネット際へのフェイントかエンドライン際へのプッシュの2つの攻撃スキルだけで面白いように決まるようになりました。相手のチームにも私と同じような視力を持つプレーヤーがいると、ゲーム中に頻繁にお互いの眼がネットを通じて合うものでたがいに苦笑したものです。元全日本男子のミドルプレーヤーで天才と言われた岩島選手(多治見工業、法政大学、富士フィルムで活躍、全日本ジュニア監督)は、そのようなとき、眼で相手にフェイントをかける、と教えてくれました。なるほど、と納得した次第です。
さて、練習方法ですが、ママキチさんでも出来る簡単な方法を教えます。通常のパス練習で相手の人がパスした後、ママキチさんはそのボールを見ます。そのボールの高さと方向(放物線)を確認したら、相手の人に手でサインを出してもらいます。ママキチさんは、両腕をオーバーハンドできる準備の構えを維持して、ボールの落下点に移動しながら、そのサインをちらっと見ます。この時の見方がポイントです。頭を動かして見ないで、目玉だけ動かして見ることです。頭を動かして相手を見ると画像全体が動いてしまいピントが合いません。目玉だけ上下左右に素早く動かすことです。そして、相手の手のサインがパーであれば、「パー!」と大きな声を出して反応してオーバーハンドパスを、サインがグーであれば、「アンダーハンドパス」を行います。チョキだったら?それはママキチさんが考えてください。真似からオリジナルを作ることが脳の活性化にもつながります。イミテーションからクリエーションですね。例えば、チョキだったら、低く速いオーバーでの平行パスでもいいですね。更には、パーでひらひらさせたら、オーバーで一度頭の上方にあげて(直上パス)から180度ターンしてバックパスで相手に返球することもパスのスキルアップになって大変効果があります。考えていくとどんどん出てきますね。片手ではどうか?ヘディングではどうか?ジャンプパスではどうか?腕立て伏せをしてからパスするのは体力トレーニングになるがどうか?この練習は2人でやるのですが、最初のレベルでは連続させないで、1本ずつやりましょう。投げる人は常に投げるだけ、ボールを受ける人はパスするだけの一方通行の練習が効率が上がります。更には3人で一列になってもやれます。三角形でやるとより実践的になってきます。
また、アップの対人パス練習中に、誰か特定の人(物)を、ボールが空中にある間にちらっと見るのも効果があります。例えば、体育館玄関とか、監督さんとか、仲間とかをちらっと見るのです。体育館以外では、電車がホームに出入りする時に、車両の中の人を見たり、車体の広告を読んだりするのも手軽で良いですね。但し、目玉だけキョロキョロさせるので、人が見ているところでやると「?な人」と間違われる可能性もありますのでご注意してください。新聞を読むときに、1秒~2秒だけ紙面をざっと眺めた後に閉じて、どんな記事が載っていたかを言い当てることも瞬間視が鍛えられて宜しいですね。
左右・上下に目玉が動くようになったら、次は前後です。深視力といいます。手前と深いところを交互に見るトレーニングです。
ボールの中には何が詰まっていますか?空気ですね。意思は詰まっていません。意思は人間が、プレーヤーが持っています。ですから、ボールを視認したら、次はプレーヤーを見るのです。そしてまたボールを見てご自分の最終の意思決定をするのです。これが、サッカーでもバスケットでもハンドボールでもチームでのボール・ゲームに必須の能力である「状況判断力」といわれる能力です。
さて、昨日は、UAE(アラブ首長国連邦)でプロコーチ活動を始めた足立さんと半年ぶりに御茶ノ水駅の純喫茶で再会した。最近のアラブ、ヨーロッパ事情を聞かせていただいた。UAEは1971年に7つの部族が一緒になった国なので王族が大変多い。そしてオイル・マネーの国でもあり、そのパワーでスポーツの世界にも大きな影響を与えている。世界のバレー界はどこに向かっていこうとしているのか?そして日本はFIVB(国際バレーボール連盟)とどのような関係を今後構築するのか?FIVBで日本人で唯一現役インストラクターである足立さんとは、来週また話を続ける予定だ。来月にはUAEからナショナルチームを支援している王族の一人が日本を訪問するとのことだ。私の錆びついたアラビア語を少し磨いておかないといけないかな?
(画像は、久し振りに送られてきた読者のKさんからのコスモスです。もう10月に入ったんですね)
1 件のコメント:
わたなべ様
ご多忙中にも関わらず、とても親身なアドバイスをありがとうございました。
とても解りやすく具体的な内容で、早速
日々の練習で実践出来そうです。
そうなんですね。初心者初級者は
プレー中、ボールを目で追う事で精一杯。
だから、接触しやすいのです。
自分も最初はそうでした。
それが何故か?というのは、後になって
やっと解るようになってきました。
ここ数カ月は相手が何処から攻撃してくるのかを、ボールだけではなく、セッターの手元と、助走してくるアタッカーを意識する事で、以前よりもブロック率が上がってきたようにも思います。
ですが、自分が攻撃に回った時に
どうしても相手側のコートに目を向ける余裕
が持てず、悩んでいるところでした。
本当に適切なアドバスをありがとうございました。
12月にまた大会を控えているので、練習時間も限られていますが、動体視力を意識しながら練習に励みたいと思います。
今回のアドバイスを通して、わたなべ様が、心からバレーというスポーツを愛しているのだな・・・・という事が伝わってきました。
そして、わたしと同じような悩みを持つ他の人達にも、役立てられるのならば・・・と、
このように丁寧にアドバイスして下さったのだと感じました。
私もバレーが好きなので、体力の続く限り
頑張っていきたいと思っています。
どうもありがとうございました。
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